清里焼酎が出来るまで
- 麦処理
- 洗麦
- 浸漬
- 蒸し
- 冷却
- 種付「麹菌」
酒造りの最初の工程となる「麹」づくり。 麹の原料には一般的に米や麦が使われています。酒造りではアルコールを発酵させるために原料に含まれているデンプン質を糖に分解しなければいけません。
「麹菌」と呼ばれる微生物を利用し、麹菌の酵素の作用でデンプン質を糖に分解します。清里焼酎では麹の原料に北海道産の二条大麦を使用しています。麦を蒸し、約30度まで冷却した麦に種麹を散布し、「麹室」と呼ばれる部屋で2日間ほどかけて麹菌を繁殖させます。そして、出来上がった麦麹を発酵タンクへと移します。
- 麹
- 製麹
種麹を散布して一晩おいた麦には麹菌の菌糸が根付きます。この麦を今度は三角棚と呼ばれる装置へ移動します。 この三角棚では麦を均一に広げて、温度、湿度を調整し麹菌の繁殖に最適な環境を維持します。 この状態で定期的に混ぜてほぐして、さらに一晩麹菌を繁殖させます。
麹手入れ(音声なし)
- 一次醪
- 一次仕込み
- 一次発酵
麦麹に水と酵母菌を加えた発酵タンクの中で約1週間発酵させます。酒造りに使われる酵母菌は原料に含まれる糖からアルコールと二酸化炭素を生成します。発酵中は酵母菌の活動による熱で、発酵タンク内のもろみ温度が上昇していきます。もろみ温度が35℃を超えてしまうと酵母菌が死滅する可能性があるため、冷却器を設置することでもろみ温度が上がりすぎないようにし、櫂棒にて撹拌することで発酵に適切な温度を保つようにしています。
焼酎や日本酒は「並行複発酵」と呼ばれる発酵方法をとっており、麹菌の酵素によるデンプン質の分解と酵母菌によるアルコールの生成が同時に進行していきます。 一週間の発酵でアルコール分約10%以上を含んだ一次醪が仕上がります。
- 二次醪
- 二次仕込み
- 二次発酵
じゃがいも洗浄(音声なし)
じゃがいも選別(音声なし)
【二次仕込】
主原料であるじゃがいもを発酵が終わった一次醪に投入し、二次醪にしていきます。 醸造所に運び込まれた清里町産のじゃがいもを洗浄し、大きさや品質などをチェックし、人の手で丹念に選別を行います。選別したじゃがいもは大きな蒸し釜に移し約1000kg以上を一度に蒸し上げます。芯まで蒸したじゃがいもを機械で粉砕しながら発酵タンクに投入し、タンクの中で一次醪と混ぜ合わせます。清里焼酎醸造所では清里町産のデンプン加工用のじゃがいもを使用しており、食用のじゃがいもに比べ、デンプン質の含有量が多くなっています。デンプン加工用のじゃがいもは一般的に片栗粉の原料などに使用されています。
【二次発酵】
じゃがいものデンプン質が麹菌由来の酵素により糖に分解され、さらに酵母菌によるアルコール発酵へと進みます。発酵中は一次醪と同様に温度調節を行います。約2週間発酵させることでアルコール分15%程度の二次醪になります。
仕込み(音声なし)
- 焼酎
- 蒸留
- 濾過
アルコールは沸点が水よりも低い(約78℃)ため、もろみを加熱することによりアルコール度数の高い焼酎を製造することができます。 アルコール発酵を終えた二次醪は蒸留器内へ移され、蒸留器内のもろみに蒸気を吹き込みもろみを加熱します。そして、蒸発したアルコールと水分が冷却槽内の冷却管へ流れ込み、冷却槽に満たされた冷却水により冷却されることで気体から液体へと戻ります。こうして出来上がった液体が焼酎の原酒となります。 なお、蒸留温度や蒸留時間を調整することで、焼酎の香りや味わいの特徴が変化します。
- 焼酎
- 貯蔵
- 割水
- 濾過
蒸留して出来上がった焼酎は、銘柄ごとにアルコール度数の調整を行い、貯蔵用タンクに移されます。そして2年以上の時間をかけて熟成していきます。熟成が進むと、香りが落ち着き穏やかな香りになります。そして、アルコールと水の粒子が微細に結合することにより、少しずつ舌触りがなめらかに変化していきます。 冬期には氷点下に冷やされることで焼酎の油性成分が固形化します。これを濾過・清澄することで、より洗練された味わいとなります。 また、銘柄によってはホワイトオーク樽で熟成させることにより、木樽の成分や香りを焼酎に溶け込ませ、風味華やかな琥珀色の焼酎が出来上がります。
- 焼酎
- 瓶詰
- 出荷
貯蔵・熟成された焼酎は銘柄ごとにブレンドを行い、ボトルに詰めていきます。 ボトル詰め作業は充填からラベル貼りまで1本1本手作業で行っており、1日に約1000本が瓶詰されます。ボトル詰めされた焼酎は製品用倉庫へ運び込まれ、出荷されていきます。